岡本動物病院

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院長のブログ

心臓病

院長 / つぶやき / 2015.4.5 16:55

明確な症状がないのでつい油断しがちですけど。

下痢をした、嘔吐したなど明確な症状があれば飼い主さんも「あれ?おかしいな」と簡単に気づくでしょう。
しかし心臓病では下痢も嘔吐もありません。
臨床症状は「咳」だけです。
しかも軽症〜中等度であればその咳もたま〜にしかしません。
それ以外は普通の生活をしてます。
だから、こちらが注意を促してもピンと来ない方が多いんですね。

ただ、一旦心臓病と診断されたら、心臓が元に戻ることは絶対にありません。
薬の投与で心臓の負担を軽くして、病状の進行をできるだけゆっくりにするだけです。
進行がゆっくりになるのはいいことなのですが、進行することには変わりがないので
定期的な検査が必要です。
なぜならば、進行度によって使う薬の量・種類が変更されなければなりません。
ある心臓専門医(獣医師ではなく)が仰ってました。

「薬のさじ加減ひとつで良くもできるが、悪くもなる」

名言だと思います。まさにその通りです。
私は専門医ではありませんが、薬の選択にはかなり熟慮します。
そしてその判断が正しかったのか、症状の改善具合を確認しなくてはなりません。

大きく間違えることはほとんどありませんが、かつて「全く変化なし」というのを経験したことがあります。
理由は簡単です。
診断自体は間違っていませんでしたが、見落としていた所がありました。
その部分が「咳」の直接原因であったため、症状が改善しませんでした。

犬の心臓病で最も多く遭遇するのが「僧帽弁閉鎖不全症」でしょう。
この疾患が進行すると「肺高血圧症」を併発することが多々あります。
肺高血圧症の治療は、有効なものが少なくこれまでも悔しい思いをたくさんしてきました。
しかしこれまで使用してた薬剤を工夫することで症状をかなり改善させることができるということが分かってきました。
また、肺水腫という病態を引き起こすこともあります。
肺に水が溜まって呼吸困難となる状態で、動物はたいへん苦しみます。
僧帽弁閉鎖不全症に治療をする際には、将来肺水腫になることのないように、と常に祈りつつ行っています、が
時に肺水腫となってやってくる犬も少なくありません。
肺水腫の治療も改善させることはできますが、こうなった時には心臓・血管系のダメージは相当に大きくなっており
それが元に戻らない限り再発することも多々あります。
その都度、治療を繰り返すことになりますが、次第に薬に反応しなくなり、ついにはそのまま、ということになってしまいます。
僧帽弁閉鎖不全症の犬、全てが最後は肺水腫になるわけじゃありません。
だからこそ「肺水腫だけにはさせないように」と思うんです、が
これには飼い主さんの、病気に対する理解と治療、検査に対する協力が欠かせません。

「咳」しか、明瞭な症状がない病気です。
ピンと来なくても仕方ないかもしれません。
しかし、絶対に甘く見たらダメな病気です。
そして肺水腫だけにはさせちゃダメです。

肺水腫の犬を看取った時にはいつもいつも悲しく思います。

| comments (1) |

コメント

こんにちは。
もうすぐ5歳になるヨーキーです。
生まれつきの門脈シャントで5ヶ月の時に手術を受けました。
その後、獣医さんにお世話になりながら、蒼くんのペースで生活をして元気になってきたと思っていた時に、昨年11月肩で苦しそうに息をするようになり、肺高血圧とな診断で、レバチオを1日2回服用していましたが、2月初めから又肩で息をするようになり、3回の服用してから、ふらつき、倒れるようになりました。

ここにきて、レバチオが獣医さんに手に入らなくなって明日からケアロードになります。
心臓の病気から肺高血圧になったようではないようですが。

アドバイスをお願い致します。

木村千恵子 / 2017.3.13 12:05

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