院長 / つぶやき / 2017.5.11 18:16

またダニ由来感染症による被害者の方がいましたね。

数年前からメディアに出るようになったダニ由来感染症ですが
これはウイルス感染症で、特効的治療薬・治療法がありません。
これから草刈りや登山など草むらに入る機会が増えてきますので要注意ですね。
ちなみにこのウイルスは人間だけで動物は感染しません。
しかし動物にくっついてきたダニが家の中で離脱して
今度は人の血を吸うなんてことがありますから
動物のダニ予防も大事ですね。わが身を守らないといけませんから。

ダニと言えばもう一つ。
こちらは細菌感染症ですが「ライム病」と言うものがあります。
人の方では北海道の自衛隊員の感染報告が国内では最初（だったはずです）で
動物では近畿圏の獣医師が地元での犬への感染事例を発見しました。
この発見には２つの意味がありまして
１つは人畜共通であること
２つめはライム病が（おそらく）国内全域で存在している（であろう）こと　です。

ダニ由来感染症で動物特有のものとしては
バベシアが有名かなと思いますが
こちらは不思議なことに本県ではまだ報告がない（はず）です。
当院でも過去に数例診たことはありますがいずれも県外での感染事例でした。

寄生虫、動物とくればそろそろフィラリア予防の時期ですが
こちらは昔からず〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと言い続けているんですけど（笑）

今月はまだ予防時期ではありません！

予防薬の特性と蚊の特性を考えれば「当たり前」のことですが
フィラリア予防期間は以下の通り。

『蚊が出始めてから（吸血活動をするようになってから）１か月後から開始し（投薬開始）
蚊がいなくなってから１か月後まで（最終投与）』

このように定義されています。
どのメーカーの薬を使おうともすべて同じです。
誰が何といおうと　お・な・じ　です（笑）

と言うことで予防開始は６月から予防終了は１２月で期間は７か月となります。

早くから始めれば何かいいことがあるかも？
なんてこたぁありませんので。
それどころか、薬による犬の体の負担はありませんが
飼い主さんのお財布に負担がかかりますよ。

ただ、例外としては盲導犬は規定により「通年予防」となってますね。
これは万が一、億が一の可能性もあってはならないからと言うことと
盲導犬は全国にいますから、沖縄のように通年予防が当たり前の地域もありますから
全国共通の条件にしているんだと想像してます。

そしてノミについてはダニ同様なんですけど
通年予防が必要なんですよ、と言っときます。
なぜか「夏だけ」と思っている人が多いんですが
そんなことはないですね。
またダニと違うのは感染ルートでして
ほとんどは屋外の動物、要は野良猫と言う存在ですけど
これらからぴょんぴょん飛んできます。
特に自宅周りに猫が集まってくるというお宅の場合は
まず確実に家の中に侵入してきます。
ノミもダニも蚊もおなじですけど
吸血する虫は相手を選びません。
哺乳類であれば何でもいきます。

動物病院と言う仕事をしてますと
院内感染には気を遣います。
とは言えノミがぴょんぴょん飛んでいるから
診察しませんとか入院はさせませんと言うことはないですけどね。
ただ他への悪影響がありますので入院とか手術の場合には
先にノミ駆除だけはします。
飼い主さんへは事後承諾となることが多いですけど。

ハエも注意しなくちゃいけない場合があります。
これはショウジョウバエですのでこれからの時期にどんどこ出てきますね。
ショウジョウバエは目の結膜に寄生する東洋眼虫というのを運んできます。
昔は市内での感染はなかったんですが近年は増えてきているようです。
ショウジョウバエ対策は生ごみ対策です。
防虫をしっかり行っておいた方がいいでしょうね。

個人的には寄生虫自体は嫌いじゃないんです。
我々人類よりも歴史の古い生き物ですし
奴らの生態を知るに興味がどんどんわいてきます。
もし「寄生虫って面白そう」と思った方がいらっしゃったら（あんまりいないでしょうけど）
東京は目黒にある寄生虫博物館へ足を運んでみてください。
個人の方の収集なんですが、世界的にみても貴重な標本がたくさんあります。
私などは２回も行っちゃいました。
何度行っても面白いですよ。

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