岡本動物病院

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院長のブログ

綿棒

院長 / つぶやき / 2017.6.6 20:39

耳掃除用ではありません

SNSでこのことについて書いたところ大変多くの方の目に留まったようでした。

実際、動物病院では多くの獣医が綿棒を使っていることと思います。
私もかつてはそうでした。
しかし臨床を続けていると疑問に思うことが出てきます。

どうしてこの犬の外耳炎はいつまでも治らないんだろう

たかが外耳炎。
汚れ(耳垢)を取って、薬を入れて、ついでに投薬も行って
これで治るはず、が治らない。

耳鏡を使って耳を覗いてみてもよくわからないので
カタログを調べて、もっといいものはないかと調べました。
そしてある年の学会の展示ブースで良いものを見つけました。
従来のモノよりもノズルが長くしかもピンセット状になっており
覗くだけではなく耳道内の異物や耳垢塊も摘出可能です。
そして鼓膜もきちんと見えます。

イイもの見つけた、と嬉しくなりました。

しかしそれでも取り除けない耳垢にしばしば出会うようになり
思案していていたところ、テレビを見ていて耳鼻科の医師が
自宅介護患者の耳処置を吸引器を使って行っていたのを見ました。

天啓のようにひらめきましたね。

吸引器は持ってましたのであとは吸引管を用意すればよかったんですが
耳鼻科用のモノはなく、ついに出会ったのが脳外科手術用の吸引管でした。
調子に乗って購入したのは良かったんですが請求書を見て血の気が引きました(笑)。

以後2種類の耳鏡と吸引器を使って外耳動炎の完治を目指しています。
吸引器を使うようになってから治癒率は確かに向上しました。

しかしそうこうしていると更なる難問が出てくるのは必然でしょう。
鼓膜に固着している耳垢がどうしても取れません。
これは鉗子を使って取らないとダメなんですが
私の目の問題があって今までの耳鏡を使って鉗子を使うというのが
どうしてもうまくいきません。

そして再びカタログサーフィンが始まりました(笑)。

そして見つけましたよ。というかディーラーさんお勧めでしたが。
これはホントに特殊なもので、しかもびっくりするほど高価です。
滅多に使う機会はないんですが、いざという時にこれがあるとないとで違います。
これを使うと鼓膜に固着しているものが取れる、はずなんですが
先日ようやく使う機会がありました。
と言うのもこの処置は相当な痛みを伴うので麻酔が必要なんです。
処置が痛いというより鼓膜に固着しているのをはがすのが痛いんです。

慢性外耳動炎の大きな問題はここにあります。
犬は耳を振って、後肢で掻いてますが
鼓膜に固着している状態では痒みではなく痛みになっている、と言うことです。
痛みの原因を取り除かねば、その痛みはずっと続くということですから
鼓膜の固着物はどうあっても取り除かねばなりません。

どうしてこんなことになるのか?
その原因の1つというよりほとんどが綿棒での耳処置にあるということです。
綿棒を使うことで耳垢を少しずつ奥へ押し込んでしまう結果です。
手前、つまり普通の耳鏡で見える部分は綺麗になっていますが
普通の耳鏡では鼓膜までは見えませんからそこに押し込んでいることに
施術している当人が気づいていないということなんですね。

動物はモノが言えませんから痛くても「痛い」とは言いません。
ただそれを聞き分けるのが獣医師の大切な役目です。
痛みの原因がたった耳垢と言うただの汚れなんですけど
これが積もり積もって大きな問題源となってしまうんです。

それを取り除くために必要な器具を揃えることで
どんな状況のモノであって「取る」ことに集中できます。
治せるものは治したいですから。

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