
院長 / ニュースレター / 2011.6.29 20:41
今回はノミの駆除と予防について解説します。
前回のノミの害について、補足します。
「ノミアレルギー性皮膚炎」と言うものがあります。
これは「ノミに刺されて痒い」と言うものとはまったく違います。
ノミは血を吸う際に、血液が固まらないようにするために唾液を吐き出します。
この唾液に対するアレルギー反応がノミアレルギー性皮膚炎です。
ですから、ノミの「数」は関係がありません。
わずか一匹であっても唾液が体内に入りますから症状が見られます。
このときの痒みはアレルギー反応ですから、猛烈な痒みが起こります。
その結果非常に典型的な症状が見られるのですがこの続きは別の機会に・・・(ちょっと意地悪)
さて、話を戻しましょう。
本来は駆除するのではなく予防するのが理想です。
体に寄生したノミは動物のみならず人間にも害があるからです。
現在使用されているものは大きく分けて2通りあります。
それぞれの利点・欠点について説明します。
まず、最近よく使われているのが「滴下式」のものでしょう。
各メーカー色々なものが販売されています。
それぞれ薬の成分が異なりますので、作用機序が若干違いますが
共通している特徴としては・・・
1:効果持続(駆除と予防効果)が約1ヶ月間であること。
2:体重によって投与量が異なること。
3:頚部皮膚に滴下すること
4:基本的には駆除であること。
1・2・3については言葉通りです。
さて4についてですがこれはもう少し詳しくいきましょう。
先日の皮膚病セミナーでも話がありましたが、滴下式の薬は
その成分が体内に吸収されてから効果を発揮します。
そして薬成分の混入した体液をノミが吸うことでノミが死亡します。
つまり、ノミは血を吸う行為によって薬成分を体内に取り込んで死亡するということですから
これでは先に説明したノミアレルギー性皮膚炎の対策とはなりません。
ただ、ある種類のものついにては「血を吸うまでにノミが死亡する」と言うものもありました。
実際にメーカーの商品説明の際にビデオを見たのですが
動物の体に飛び移ったノミが比較的短時間で、血を吸う前にポロリと体から落ちました。
一瞬何が起こったのかわかりませんでしたが、メーカーはこの点を非常に強調していました。
それはそうでしょう。従来のものは血を吸って初めて効果があったのですから。
しかし、何故そのようなことが起こるのか?これは大きな疑問です。
「体に触れただけで死ぬ」なんて、漫画の世界ですから。
私はしつこくそのメカニズムについてメーカーに問いただしましたが結局教えてくれませんでした。
トップシークレット、ということで。
結局、その言葉とビデオの映像を信用して一時期使用していましたが・・・
正直「触れただけで死ぬ」と言う感じはありませんでしたね。
そして、薬剤が体内に入ると言うのはどの製品も同じですから
当然副作用のリスクはあります。
ノミ駆除薬は要するに「殺虫剤」ですから農薬の成分となんら変わりません。
その薬に対する反応が現れることもあります。
症状としては琉涎・ふらつきなどの神経症状と滴下部分の脱毛です。
副作用の発生は、私の経験では犬よりも猫に多いように思います。
こういった副作用が見られた場合は「解毒処置」が必要となります。
次に「首輪タイプ」のものについて説明しましょう。
ホームセンターなどにもピンクや黄色などカラフルなものが売られていますが
動物病院で使用するものとは薬の成分がまったく違います。
と言うことは効果も雲泥の差であるということです。
はっきり言えば市販のものは「効きません」。
首輪タイプのものは、首輪部分の樹脂に薬の成分が染み込ませてあります。
薬成分は封を切った時点から拡散し体の表面を覆います。
ノミはこの薬を浴びることで死亡する、と言うことです。
ですから薬の成分が体内に入りませんので副作用の発現リスクは低くなります。
また首輪タイプの効果持続は4〜6ヶ月あると言われていますが
確実に効果が期待できるのは4ヶ月間です。
滴下式が1ヶ月間ですから効果持続期間が圧倒的に違います。
また、それによって「費用対効果」が違ってきます。
要するに「安上がり」と言うことです。
またサイズはSとLの2種類です。
小型犬はSサイズで中型〜大型犬はLサイズです。
また複数飼育されている場合にはLサイズを切って使うこともできますので
更に安上がりとなります。
ではいい事だらけだ、と言うことになりかねませんので欠点・弱点も紹介しましょう。
まず、首輪の樹脂とそれに染み込んでいる薬剤によって独特の臭いがあります。
これが嫌だという方もいらっしゃいますので好みが分かれるところでしょう。
そしてきちんと装着しなければ効果がありません。
正しい使用方法と言う点では滴下式も同じですが、首輪の場合ある程度まで首に密着させる必要があります。
目安としては小型犬の場合は首との間に指が2本程度で
中型〜大型犬の場合は指3本程度です。
あまりゆるすぎると効果がきちんと出ませんし、場合によっては犬の口にはまってしまうこともあります。
万一犬の口に入ってしまうと薬成分が直接体内に入りますのでこれは危険ですので要注意です。
また、普通の首輪と同様に長期間装着することでその部分の毛が擦り切れることがあります。
これも長毛種の小型犬の飼い主さんに嫌われるところですね。
正し首輪タイプは持続性のみならず、ノミに対して非常な即効性もあります。
首に装着するとわずか5分程度で体中のノミが死にます。
これを使用すると確実な「予防」にもなりますのでノミアレルギー性皮膚炎の動物には非常に有効です。
最後にもうひとつ弱点を挙げて起きましょう。
ある程度の体の大きさなら薬の拡散によって駆除・予防が可能ですが
あまりにも大きすぎる場合、超大型犬では体の末端まで効果が見られないこともあります。
さて、それぞれの特徴について説明してみました。
どちらを選ぶのかは飼い主さんの自由であり、意思でいいと思います。
我が家の小さな(大きな)家族に対して最も良いと思われる方を選んでください。
ちなみに当院では基本的には首輪タイプを勧めています。
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