
院長 / ニュースレター / 2012.6.20 21:41
かなり時間が空いてしまいました。
先日のセミナーで得た情報も混ぜてみます。
後天性心臓疾患の代表である僧帽弁閉鎖不全症についてご説明します。
特に小型犬での発症が多いことでも有名な心疾患です。
僧帽弁は左心側の左心房と左心室の間にあり、血液の流れを一定に保つ役目をもつ弁です。
なぜ僧帽弁という名が付いているのが、私はよく知りません。
それはさて置き、この僧帽弁は中隔尖と壁側尖の2枚で出来ており
この弁尖の先端部分が丸くなり(粘液腫変性)、弁がきちんと閉まらなくなって
左心房→左心室という血液の正常な流れが、一部左心室→左心房と逆流する現象が起こり
左心房が拡張して気管を圧迫して咳を起こします。
またこれが重度になると肺高血圧症や、逆流が高じて右心側へと波及して右心の異常も起こすようになります。
僧帽弁閉鎖不全症の症状は「咳」です。
当初は、興奮したとき、運動中・直後など心拍数が上がったときに咳を起こします。
この状態から進行すると、安静時にも体をちょっと動かしただけでも咳をするようになります。
ここで言う咳とは、いわゆる「ゴホンゴホン」と言うものではなく「痰を切るような」感じです。
まるで何かが喉に引っかかっているような時にするような感じです。
安静時にも咳が出るような状態から進行すると、肺高血圧状態が持続するわけですから
最後には肺水腫を起こして、呼吸困難・不全状態になります。
これらの病態進行がどれぐらいの時間が掛かって進行するのかはよくわかりませんが
経験上で言えば、最初の咳が起こるようになってから数年(2〜3年)後には、容易に咳が出るようになり
そこからはあっという間に(数週間〜数ヶ月)で肺水腫を起こすようになると思っています。
診断は、レントゲン・エコー検査などの画像診断で確定診断ならびに病状の程度を知ることができます。
レントゲンでは心臓の大きさや気管の状態を把握します。
エコー検査では心臓内部の状態、すなわち僧帽弁を直接確認します。
現在では、エコー検査が非常に重要であり、これをせずに僧帽弁閉鎖不全症の診断はできないと思います。
実際私も心臓のエコー検査の重要性を感じ、15年前から技術を磨くことに集中してきました。
治療は内科療法と外科療法があります。
内科療法では「血圧を下げる」降圧剤を使用します。
これにより病状の進行を抑え、心臓を「長持ち」させます。
病状の進行具合によって様々な種類の薬を併用します。
ただし、病状の正確な把握をしないと、適当な投薬種類の変更・追加はかえって危険です。
特に利尿剤の使用に関しては注意が必要で、初期段階で使用することは決してありません。
肺水腫あるいはそれに近い状態になってから使用することになっています。
外科療法は、人工弁置換術・逢着術など執刀者によって手術方法の選択が異なるようです。
また、こう言う手術は専門医によるものとなりますが、外科手術に関しては日本のレベルは世界のトップです。
僧帽弁閉鎖不全症の研究は進んでいます。
世界中の専門家が様々血球からなデータを集積しており、我々一般の開業医にとって福音です
かつては治療しても長期間生存は難しい疾患でした。
しかし、今では寿命を全うするまで心臓を持たすことができるように思います。
そのためには早期発見・早期治療が重要であることはもちろんですが
正確な診断と投薬、これが我々獣医師に課せられた責任であると思います。
![]()
このサイトはjavascriptを有効にしてご覧ください。また読み込みにお時間がかかる場合がございます。
![]()
当院は診療料金を現金の他、クレジットカード(VISA・MASTER)、WAONで支払いいただけます。
※支払い回数は1回のみです。
※WAONのチャージはできません。