岡本動物病院

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ニュースレター

症例紹介〜伝染病〜

院長 / ニュースレター / 2012.9.2 20:53

今月は犬・猫の伝染病についてご紹介します。

伝染病については、混合ワクチン接種とセットで考える必要があります。
ただ、混合ワクチンについては色々と私個人的な考えもありますので、ここでは割愛します。

ここでは猫エイズウイルス感染症と猫カリシウイルス感染症の写真をお見せします。
まず、エイズウイルス感染症ですが、よく他院からの転院事例で多く聞かされるのが

「エイズの猫の口内炎」

口内炎は別に珍しいものではありません。と言うより・・・
猫では非常に多いと言ってもいいでしょう。
困るのは「口内炎=エイズ」と言う説明をする輩が多いことです。
通常の口内炎とエイズ発症期の口内炎とは全く違うものです。
そもそもエイズというのは「後天性免疫不全症候群」の略語であり
エイズウイルスに感染したからエイズ、ではありません。
エイズウイルス感染しただけでは外観上は全く普通です。
これは人間の場合と同じことです。
誠に残念ながら、ここのところの誤解が根強いですねぇ・・・

さて、エイズ発症期の口内炎はこんな感じです。

写真が小さいのでわかりにくいですけど、左下顎の臼歯部分の歯肉が白く見えるのがわかりますでしょうか?
あれは下顎の骨です。
歯肉が壊死(腐って)骨が露出している状態です。
通常の口内炎ではここまではなりません。
こうなるとその痛みは尋常ではなく、食事・水とも全く受け付けない状態が続いていました。
実際この猫は血液検査でFIV陽性、その他の検査でも色々とエイズ発症をうかがわせる所見がありました。
そして、この写真を撮影した2日後に亡くなっています。

次はカリシウイルス感染症です。
教科書的には「粘膜の炎症」が強く見られる、と書かれていますが
最近の症例ではその症状は顕著ではなく、なんか調子がおかしいな、と思っていると
数日で肺炎を起こす、と言う症例が多く見られます。
この写真は随分昔のものですが、舌に大きな潰瘍を形成していました。

この症例には、当時発売されたばかりの「猫用(現在は犬でも使用可能)インターフェロン」を使いました。
かなりひどい状態でしたが、インターフェロン投与でみるみる改善しました。
あまりにも劇的だったのと、写真を連日撮ってましたので、当時の営業担当者がこれらの写真を是非譲って欲しいというので飼い主さんの了解の元提供しました。
これで営業して回って「随分と売れた」そうですよ。
この猫は現在も元気でいます(年齢20歳となりました)。

次は犬の伝染病です。

かつては松江市内を席巻したパルボウイルス感染症です。
当時は毎週数件の症例を診るという異常な時期でした。
パルボウイルスは小腸内に感染を起こし、粘膜を破壊します。
その時に粘膜内の血管を損傷しますので、血便が出るわけですが
この血便と言うのは通常の出血便とは違います。
私や婦長は、便の匂いだけで「パルボだ!」とわかります。
それぐらい多くの症例を診ました。
これがその血便です。

その匂いをどう表現したらいいかわかりませんが、とにかく「独特」です。
感染の有無は、ウイルスの検査キットを使って診断が出来ます。
当時使っていたものは青く発色するというものでした。(現在は別のものを使用しています)

右がコントロール(指標とするもの)で左が便から作成した試料なんですが、コントロールよりも青が強いですよね。
これは「強陽性」と判断できます。

犬のパルボウイルスとジステンパーウイルスについては、現在検査用キットがありますので診断は容易になりました。
こう言う検査キットが、犬猫すべての伝染病用が開発されるともっといいのにな、と思っています。
疑わしい症例について迅速に診断がつけば、早急に治療を始められます。
一刻も早い治療開始が時に生死を分けますので、早期診断用キットが必要ですね。

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