岡本動物病院

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ニュースレター

症例紹介〜繁殖〜

院長 / ニュースレター / 2012.11.6 22:23

卵巣・子宮・睾丸の疾患です。

都会では「避妊・去勢手術は常識」とのことですが・・・
個人的な意見としては、雌の避妊手術はしたほうがいいと思いますが
雄の去勢手術はそこまでは思っていません。

まずは雌の疾患からいきましょうか。
圧倒的に多いのは「子宮蓄膿症」でしょう。
これは子宮に膿みが溜まる病気です。
大き分けると「開放性」と「非開放性」とがあります。
飼い主さんが気づくのは「開放性」ですが、これは膿みが陰部から出てくるから開放性なんです。
これに対して「非開放性」は陰部からの排膿がなく子宮に溜まっていくので気づきにくい、となります。
ただ、非開放性の方が症状が強くでて、全身状態の悪化が見られます。
発病のメカニズムとしては卵巣からのホルモン異常が原因であり
発情出血が見られた1〜2ヶ月後に体調不良を起こすというパターンが多いです。
治療方法としては外科的処置(子宮卵巣全摘出)と内科治療(薬による排膿処置)があります。
個人的には外科治療がベストだと思っています。

さて、実際に子宮はどうなっているかというと・・・

こんな感じになっています。
この場合の卵巣はと言うと・・・

これは黄体化という状態でこれが原因です。

次は子宮蓄膿症に似ていますが、内容物は膿汁ではなく粘液です。
子宮粘液(嚢)腫というもので、目立った臨床症状はあまりありません。


また卵巣の異常が原因となるものには「乳腺腫瘍」もあります。
良性と悪性とがありますが、特に猫の場合は乳腺にあるしこりは高率で「乳がん」と言われています。
この症例は初診の段階ですでに肺転移がありました。

通常、肺転移が見られた場合は「余命宣告」となりますので、出来るだけ早い段階での処置(手術)が必要です。

雄の場合、睾丸からのホルモン分泌異常で起こる「前立腺肥大」が多いですね。
統計的には「10歳以上の去勢手術をしていない雄犬は90%の確率で前立腺が肥大している」と言われています。
ただし、治療が必要な症状が見られるものはぐっと少なくなります。
ただ、シーズーは若齢でも前立腺肥大が見られる犬種だと思いますのでご注意ください。
最初に去勢手術はしたほうがいいとまでは思わない、と書きましたが
陰睾丸(陰嚢内に睾丸がない)の場合は話が違います。
陰睾丸は鼠径部にある場合と腹腔内にある場合がありますが
特に腹腔内陰睾丸は正常の場合と比べて癌になるリスクが数十倍高いと言われています。
腹腔内睾丸が腫瘍化した場合、「雌性化」という現象が見られることがあります。
要するに「雄なのに乳腺が腫脹する」ということが起こります。

写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、乳首が大きくなって乳腺が腫脹していました。
この症例は、残念ながら血液の異常があり、既に骨髄への転移が強く疑われましたので積極的処置はできませんでした。

これらの疾患は「避妊手術・去勢手術」で防ぐことが可能と思われます。
飼い主さんの中には「手術はかわいそうだから嫌だ」という方もいます。
将来必ず病気になる、とまでは言いませんが手術をしないということは
病気の可能性を残す、ということも言えるのではないでしょうか。
避妊手術・去勢手術は積極的に、と言うか前向きに考えてもらいたいと思います。

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