岡本動物病院

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ニュースレター

症例紹介〜皮膚病 1〜

院長 / ニュースレター / 2013.1.9 20:25

実際に診察・治療をしていると、皮膚病が最も大変だと思います。
皮膚病は様々な原因がありますので何回かに分けてご説明しようと思います。

まずはアレルギー性皮膚炎についてです。
アレルギーの原因は様々で、原因がわかればそれを除去することで改善しますが
実際には原因特定が非常に難しいです。
また、原因物質が一つとは限りません。複数の物が原因となることも珍しいことではありません。
他院からの転院事例で最もよく聞くのは「食事性アレルギー」と言われ処方食を食べさせている、ということなんですが
全アレルギー疾患のうち、食事性アレルギーは10%程度と言われており、実は非常に少ないのです。
しかし食生活を改善することで、60%の症例で好転すると言われていますので
食事管理は重要な要素である、と言えるでしょう。


この症例も他院からの転院事例でした。
皮膚病、特にアレルギーが疑われる場合には細かな問診が重要になります。
それこそ「しつこい!」と言われるまで聞き取りをします。
その結果、飼い主さんには嫌な顔をされますが、治療を始める上でどうしても欠かせません。
この犬は投薬と同時に食事指導を行いましたが、処方食は一切使用していません。
当院では、処方食を使用するのは「最後の手段」と考えています。
さて、この症例がどうなったかと言いますと・・・・

皮膚が黒くなり脱毛を起こしていましたが、全て発毛し最終的には綺麗な状態になりました。
その後も食餌管理を徹底して継続し綺麗な皮膚のままでしたよ。
食事管理というのは、市販のドッグフードから私が選択したものだけを与えることと
おやつ・人間用の食べ物を与えない、たったこれだけです。
つまりこの症例はドッグフード以外の食べ物が原因だった、と言うことです。
次も食事性アレルギーと診断した症例です。
他院で6年ぐらい投薬治療を行っていたということでしたが・・・

腹部の皮膚は真っ黒に変色(色素沈着)し脱毛していました。
こちらも投薬と食餌管理を実施したところ・・・

このようになりました。
投薬は感染対策と掻痒対策として行いますので、原因療法ではなくいわゆる対症療法です。
なぜ投薬を行うか?と言うと「痒み連鎖」を断ち切るためです。
痒みがある→掻いて皮膚を傷つける→傷の部分にバイキン(細菌・真菌など)が侵入する→更に痒みが増す→更に掻いて傷つける 
これが延々と続いて見るも無残な状態になる、というのを防ぐためです。

さて、次は「アトピー性皮膚炎」と診断した症例です。

喉元の状態です。被毛が薄くなり、部分的に黒い色素沈着が見られますね。
実際にはここだけではなく体中に同じ状態が見られました。
この症例では投薬・処方食など考えられるものは全て使って治療しましたがなかなかよくなりませんでした。
そして当時はまだ認知されていませんでしたが「保湿療法」を行ってみました。
その結果が・・・

このようになりました。
ここに行き着くまで長い時間がかかりました。

さて、アトピー性皮膚炎は人間にもある皮膚病ですが、動物と人間とでは「定義」が違います。
動物の場合、簡単に言えば「体質」であり、病態としては完治はしません。
一旦良くなったと思っても、何かの拍子に症状は再発します。
そのため、投薬だけではなくきちんとした食事管理を行い内臓状態を良好にし、なおかつ皮膚に栄養をたくさん与えます。
そのためにはサプリメントを使用したりもしますが、重要なのは皮膚に直接ケアを行います。
この症例に保湿療法を始めた頃にはほとんどほとんど認知されていませんでしたが、私はアトピーの皮膚は「乾燥肌」である、と考えていました。
乾燥肌はそれだけで痒みを引き起こし、痒み連鎖が起こります。
皮膚の保湿を同時に行えば皮膚の状態を良好に長く保てるのではないか、と考えました。
当時は「皮膚の感染症を叩く」という考えが一般的で、薬用シャンプーは皮膚を乾燥させて殺菌するものが多くありました。
これを使うと皮膚に繁殖している雑菌対策はできますが、肌の乾燥は進行し結局皮膚は悪化していました。
現在では動物病院で入手できる薬用シャンプーには必ずと言っていいほど保湿剤が入っています。
つまりスキンケアが当たり前となってきました。いい時代になったと思いますよ。

今回はここまで。

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